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第1回 リレートーク 『時間を撮る』と『Xを追う』

2009年11月 2日 (月)

10月15日、第1回リレートークが開催された。リレートークとは、会員それぞれが体験したこと、研究・考察したこと、得意な分野などをテーマにして発表し、会員相互に質疑を交わし、写真撮影の糧にしようという催しだ。1回目は本村政治会員と豊田芳州会員が講師を務めた。本村会員の『Xを追う』は、某有名選手の練習や生活を追跡したレポートで、日本支部(RPSJ)会員にみに公開された秘蔵写真集だ。豊田会員の『時間を撮る』の要旨は以下のとおり。

『時間を撮る』 豊田芳州

私は、撮影のモチーフを8つに分類している(現段階)。①表情・雰囲気 ②関係 ③発見 ④時間 ⑤光 ⑥形 ⑦カラー ⑧質感 の8つだ。リレートークでは、その中の④について取りあげた。📷

 時間は人間特有の高度な概念であり、人間の生活にとって無視できない。多くの芸術的感動にも深くかかわっている。映画、音楽、演劇、舞踊、文学などは時間芸術と言える。写真は、映画やテレビと違って『時の流れ』はない。二次元の平面である。写っている被写体は、ほとんどが一瞬の出来事であり、その断片である。しかし、多くの優れた写真を分析すると、時間がモチーフになっている。

 写真に記録される被写体は常に現在である。しかし、私たちは写真から過去や未来を感じとることができる。写真を鑑賞(観賞)したとき、被写体の中に思い当たるふしや、想像できること、予測できることなどがあるからだ。それが過去だったり未来だったりするのである。読みとることで撮影者と共感し、納得する。撮影者とだけでなく、人間として、社会人として、家族として、共通の環境や土壌に育った人びとと共感できる。人間には共通の体験があるのだ。すなわち、人は『時の流れ』に敏感であり、心を動かされると言える。

 しばしば過去は現在の原因であり、現在は未来の原因である。現在の被写体を結果や原因として撮ることに意義がある。「過去を撮る」モチーフならば、疲れる、枯れる、老境、記念(品)、思い出、ノスタルジア/侵食/風化/航跡、ゴールなどが考えられる。「未来を撮る」モチーフなら、夜明け/春/若さ/つぼみ・若芽/不安/不可解/未熟/若さ/赤ちゃん/若者/希望・夢/スタート/成人式などを挙げることができる。どちらも、「現在」を撮りながら、「過去」や「未来」を感じさせているのである。(写真上参照 大木の立場に感情移入すれば遠い過去を感じるし、幼木の立場に立てば長い未来を予測できる)

 もちろん「現在」も重要なモチーフだ。満開/絶好調/絶好のチャンス/ピンチ/新製品/ファッション/最先端などは、現在の状況に敏感な人間の本能に合わせたモチーフだ。「季節感」や「時刻」も時間の概念であり、モチーフになるのは説明を要しないだろう。「瞬間」は短い時間を指し、シャッター機構をもったカメラには得意のモチーフだ。自然現象、人の顔の表情、運動のフォーム、昆虫の飛翔などは瞬間のモチーフになる。

 被写体を前にして『時間を撮る』というモチーフで対応することはイメージやテクニックの着想が生まれ、秀作に結び付く可能性が高くなる。

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 (旧HP 2006年9月1日より 17000人)


 

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