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第2回リレートーク『写真とパースペクティブ』

2010年1月14日 (木)

 12月17日、第2回リレートークが「代官山花壇」で開催された。講師の川村会員から要旨をレポートしていただく。

『写真とパースペクティブ』 川村 賢一 ARPS

 今回は、「写真とパースペクティブ」というテーマで、パース原論を中心にお話した。

 まず、「パースとは何か」を紹介し、①遠近法(透視図)と、②遠近感(奥行き感)について説明する。写真は、幾何学的原理において、遠近法と全く同じである。

 次に、遠近法を切り口とした美術史の大きな流れを紹介する。ルネサンス期に研究が進んだ遠近法によって写実的絵画表現が確立され、光学的な研究もともなって、「カメラ オブスキューラ」と呼ばれる暗室空間装置/遠近法スケッチ用具が考 案され、多くの画家に愛用された。この基本構造は一眼レフカメラとほとんど同じで、この「カメラ」が今日の写真機の語源となった。しかし、実際に写真が発明されるのはさらに200年も後のことだ。遠近法は、日本と西洋の美術史に大きく関わるが、18世紀前半の写真の発明は、さらに近代絵画の形成に多大な影響を及ぼすこととなる。絵画表現は、遠近法による写実的表現から、より自由な表現を求め、20世紀のモダンアート運動へと大きく発展する。その間、遠近法はさらに実用化され、建築の設計プロセスで重要なツールとなった。

 この後、建築写真と遠近法の密接な関係について紹介する。遠近法には、XYZ軸の軸線の消点の数で、1点パース、2点パース、3点パースの3つがある。建築写真では5つのポイントがあるが、その中では重力軸との関係をきちっと表現する「安定感」が極めて重要であり、これが線的遠近法を重視する所以でもある。

 最後に、「遠近感とは?」 遠近感の違いはどこから来るのかについて紹介する。同じ空間を、広角レンズで撮影した写真と、望遠レンズで撮影した写真で遠近感の違いを見ると、広角レンズで被写体に近づくほど、遠近感が強調され、望遠レンズで被写体から遠ざかるほど遠近感は圧縮されることが分かる。ここで重要なのは、「遠近感は、対象空間と立点(撮影ポイント)との距離によって決まる」ということだ。望遠レンズで圧縮効果が出るのは、遠くの奥行きが圧縮された部分を望遠鏡で拡大して見ているということに他ならない。

 さらに、「表現写真」の場合は、不安感や驚きの感情表現など、何を表現したいかによっては、あえて空間を歪ませる表現も手法としてよく使われるなど、いくつか補足説明を紹介して終了した。また機会があれば、もう少し写真作品をお見せしながら、パースペクティブを検証できればと考えています。

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